成人式の起こりと歴史

一生に一度の晴れの日である成人式は人生で重要な節目です。それこそ、冠婚葬祭の「冠」は成人式を表わしていますから、「成人になる」ということが、古くからどれだけ重要視されていたかがわかりますね。 では、一体いつごろから、今のようにお祝いするようになったのでしょうか。今と昔では「成人の儀」にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは気になる成人式の由来や歴史、さらには現在の成人式についてもご紹介させていただきます。

 

女子が行った成人式【裳着(もぎ)】

「裳(も)」という、腰から下にまとう衣服を身に付ける儀式「裳着」が今でいう成人式に当たります。ですが、今のような式というより通過儀礼的な意味合いが強かったとされています。結婚が決まった時や、結婚が決まりそうな時が式のタイミングと言われており、そこで初めて成人とみなされます。同時に垂らした髪を結いあげる髪上げも行われ、こどもの髪から大人の髪型へと変わりました。



男子の成人式は「元服」

奈良時代以降、数え年で12~16歳の男子が行った「元服」という儀式が現在の成人式にあたります。こちらも式というより、通過儀礼と言ったほうが正しいかもしれませんね。髪を大人の髪型に結い、服装も大人のものへと改めます。幼名から新しい名に切り替えたり、冠を付けたりもしたようです。
江戸時代には儀式の細部まで継承しているのは貴族だけとなり、その他の人々は前髪を切り落とすだけになっていきました。また、元服は加冠(かかん)、初冠(ういこうぶり)ともよばれていたという記事が残っています。



現代の成人式のルーツ


今の成人式のような形になったのは第二次世界大戦の敗戦間もない1964年(昭和23年)に埼玉県北足立郡蕨市にておこなわれた「青年祭」であるというのが定説です。
次代を担う青年たちに明るい希望を持たせるため、青年歳のプログラムの一環として「成年式」が行われました。この成年式が全国に広まり、現在の成人式になっていったようです。



現代の成人式

もともと成人式は、法律の趣旨にもあるように、一定の年齢に達した青年を行政などが祝福・激励し、これに対して参加者が、責任ある自立した社会人としてより良い社会の創造に貢献していくことを決意し、それを広く社会に啓蒙するためのものでした。
ですが今は「友達同士が再会する『同窓会』のような行事」と認識されている節があるようです。



成人式に振袖を着る理由

成人式の日、街は振袖姿の若い女性でにぎわいます。その光景は美しく華やかで、見ているだけでお祝いムードを楽しむことができます。
でも、どうして成人式に女性は振袖を着るのでしょうか? 意外と知らない人は多いのではないでしょうか?



振袖は若い女性の礼服

洋服の場合、時と場所に合わせて、カジュアルウェア、フォーマルウェアと着る服を変えます。着物も同じで、留袖、付け下げ、訪問着、振袖などさまざまな着物があり、時と場所により、着るものが異なります。未婚の若い女性の礼装は振袖となります。成人式は、冠婚葬祭の「冠」にあたる儀式です。つまり「最も格式の高い場」に出席するわけですから、女性は礼装となる振袖でのぞむのがマナーというわけですね。


振袖には厄除けの効果がある

現在、振袖と言えば若い女性の着物ですが、むかし、こどもにも振袖を着せていた時代がありました。これは長い袖を振る仕草が「魔を祓う」「厄除け」になると思われていたためです。こどもが病気や厄にとりつかれないようにという願いを込めて、振袖を着せていたのです。振袖は厄除けアイテムでもあるのですね。



まとめ
成人の日は「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」日。新成人の方は誇りを持って、周囲の人は祝福の気持ちを持って、素敵な一日にしたいですね。